マスケットガールズ【webで読んだ漫画の感想】

webで読んだ漫画の感想を備忘録的に書いていく。

今回は「マスケットガールズ」。

出版社は主婦と生活社、原作は漂月、作画は飛鳥あると、キャラクター原案はsakiyamama。

転生者が近世ヨーロッパ風の異世界で軍師をやる話。

原作はなろうで読める。


ライトな銀英伝を近世設定で大砲をぶっぱなしながらやりたいのかな~という話。

群雄割拠的な状況は、ヨーロッパやオリエント世界を混ぜて、古代中国の春秋戦国の諍いを参考にしたみたいな感じ。

歴史叙述フィクション好きは絶対に大好きな「ぼくがかんがえたさいきょうのかっせんさくせんこうどう」漫画。

あくまでフィクションなのであって、作中の話は机上の空論なのだけど、それでよいのよそれで、という人には面白い。そこで冷めてしまう人にはきついかも。

コミカライズよりも小説のほうが好みだと思うのは、自分で空想して補正する余地があるからか。

普通の人は絵として表現されているコミカライズ版のほうが受け入れられそう。

マスケットガールズの感想

異世界転生物だが、魔法など超常現象的なものはなく、あくまでも近世ヨーロッパ風な異世界設定。

多分、「戦闘技術の歴史3 近世編」とか「戦闘技術の歴史4 ナポレオンの時代編」あたりを読むと、舞台設定や軍事的な話の理解が進むかも。


近世の歴史的な軍事知識があると多分楽しめるし、そこが書きたいものの一部なのかも、という印象。

ある程度現実にそって舞台設定を作る話は結構難しい。匙加減を間違えると、空気を読めない知識語りうんちく作品になってしまう。

この話はうまいことバランスを取っているけど、小説では曖昧にできる部分が絵として可視化されてしまう分、少々苦しいかも。話としては面白い。

主人公は20代前半、ストリートチルドレン上がりの軍人という設定。

実際は異世界転生者で、自分の生死にかかわる危険を察知できるというチート持ち。と言っても、よくある神様がくれる系ではなく、物語の伏線としてその辺りは作中ではぼかされている。

色々な政治的策謀に巻き込まれて、女性だけの部隊に配属され、その部隊の貴族の女性指揮官と共に活躍していくというストーリー。

転生物でよくある、転生知識で優位にたつ的な部分もあり、銃器のライフリングがその部分に当たる。タイトルもマスケットだし。ただ、それで圧倒的になるわけではなく、苦しい防衛線や絶体絶命の撤退戦などが描かれる。解決方法は意外とチートだよりなので、そこは少し拍子抜けすることが多いが、水戸黄門的なお約束としては安心感があってよいかもしれない。

リアルに寄せれば寄せるほど難しくなる設定の話だが、歴史叙述フィクション好きのツボを押さえた作品。

軍事的な話だけでなく、上官である貴族の女性指揮官との関係性をもう一つの核として持ってきていて、そのどちらもが物語を読む動機になる部分で、その判断を読者にゆだねているので、後者を好む読者層が増えたほうが、今後も長く連載が続きそう。だからこの絵柄なのかなと思ってみたり。

女性指揮官と参謀のイチャコラ漫画として読んだ方が楽しいかも。