正反対な君と僕【webで読んだ漫画の感想】

webで読んだ漫画の感想を備忘録的に書いていく。

高校生活ふんわりラブコメの「正反対な君と僕」。

出版社は集英社、作者は阿賀沢紅茶。無料だとwebではジャンププラス。


思春期の悩みと向き合いつつ、登場人物がその悩みをポジティブに消化できている、ある意味ファンタジックで理想を体現したような漫画。

と言いつつ、その理想的なメンタルコントロールを実践できている人も現実にいるわけで。

心の強い人にとっては、この話は当たり前すぎてひびかないのかもしれないけれど、たとえフィクションの世界だとしても、悩みに対して落としどころを見つけて、人間関係がある程度上手くいく、という体験ができるのは、現代社会では貴重で、だからこそ受けるのではと思ったり。

正反対な君と僕の感想

基本的には高校生の日常生活における恋愛話。

主人公の女子高校生はエネルギッシュで明るく誰とでも仲良くしているが実は人の目を気にしているタイプだが、自分と正反対な、寡黙だが自分の意見をはっきり言う筋の通ったタイプのクラスメイトを好きになり、その二人が付き合う話。

昔の少女漫画は付き合うところがゴールだったり、付き合うまでの過程を描いた後は、作品のパワーが落ちてしまうなんてことも多かったが、今作は単純に「付き合った後の関係性」がテーマになっている。

少し崩したポップでデフォルメされた絵柄が、シリアス方面に行き過ぎることを防ぐため、手軽に読める。

登場人物同士の掛け合いも軽快でノリが良く嫌味がない。

恋愛における感情の推移を言語化するのがメインの漫画。ただ、恋愛だけでなく思春期特有の感情や人間関係を細かく描写している。

登場人物はみな非常に良い人間でかつ強い。人間関係なら誰しもが経験するようなネガティブな感情にたいして、悩みながらもポジティブな結論を出すことができる。登場人物が良い人が多いというのもそれに一役買っていて、周りの人間の行動や言動から、自分にプラスになる部分を見つけ出したり、参考にして、ネガティブな感情を上手く咀嚼してポジティブなものに変換する。正直大人顔負けの精神力。

多分、フィクションにしかない優しくて平和な世界だが、読むだけでそういった世界に浸れる非常に心地よい漫画。

「ストレスが強い現代社会」という陳腐な言葉に対して、ものすごく効果の高い「読む薬」を提供してくれている。そういった物語の性質上、心が強い人からすると、当たり前の思考すぎて、娯楽フィクションで読むものではなくなってしまうのかもしれない。

できれば今後もそのまま、理想のままで話が進んで欲しいが、それで連載がもつのかはわからない。なんとなく、このままのほうが需要がありそうな気がするけど。