シリーズ新作『アサシンクリード ヴァルハラ』ワールドプレミアトレーラー公開。舞台は9世紀のイングランド。歴史的背景「ヴァイキングの侵攻とアルフレッド大王」


画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより

シリーズ新作『アサシンクリード ヴァルハラ』が発表され、ワールドプレミアムトレーラーが公開されました。

テーマは「ヴァイキング」でして、舞台は9世紀のイングランドです。

ステレオタイプな今までのヴァイキング像とは異なる描き方になりそうで、面白そうだな~と。

また、以下の公式ブログにて、2020年末の発売予定、としして出ています。

『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開

公式ページは以下です。

アサシンクリード ヴァルハラ公式ページ
URL:https://www.ubisoft.com/ja-jp/game/assassins-creed/valhalla

対応機種はPlayStation 4、XBOX ONE、PCデジタル、さらに今後発売予定のPlayStation 5、XBOX Series X対応も予定しているとのことです。

設定としては、ヴァイキングの主人公「エイヴォル」がイングランドで新たな領地を獲得していく物語です。

プレイヤーは「エイヴォル」を男性か女性か選ぶことができます。

画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより

アビリティや装備、タトゥーをカスタマイズできるとのことです。

ゲームシステムとしては、同盟や戦略、会話の選択、装備の成長など、様々な要素が準備されています。

エディションですが、通常版とゴールドエディションとアルティメットエディションの3つが用意されています。

画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより

通常版:ゲーム本編のみ

画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより ゴールドエディション:ゲーム本編+シーズンパス ※デジタルダウンロードのみ

画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより アルティメットエディション:ゲーム本編+シーズンパスに加え、略奪や河川の攻略で役立つアイテムをまとめて収録 ※パッケージ/デジタルダウンロードにて販売予定

さらに、日本ではPS4版のパッケージ限定で、コレクターズエディションが用意されています。

画像は『アサシン クリード ヴァルハラ』2020年末発売予定!ワールドプレミアトレーラー も公開:UBI BLOGより コレクターズエディション:パッケージ版『アサシンクリード ヴァルハラ』アルティメットエディション+シーズンパスに加えプレミアムグッズ付き ※日本国内ではPS4パッケージ版のみの発売となります

発売は2020年末予定とのことで、気長に待つ感じになりそうです。

アサシンクリード ヴァルハラの時代背景について「ヴァイキングのイングランド侵攻とアルフレッド大王」

以下の公式記事で、ヴァイキングの歴史について、かなり突っ込んだ感じで言及されてました。

ASSASSIN’S CREED VALHALLA – THE HISTORY BEHIND THE VIKING LEGEND

ヴァイキングってわからないことが多いんですけど、この記事ではかなり詳細に語っていて、自分としては知識がちょっとアップデートできたな~という感じです。

自分が持っている世界史の史料はちょっと古いのですが、資料を参考にちょっとゲームの舞台になる時代について、まとめておきたいな~と思います。

この時期の歴史の流れについて語ってしまうので、もしかしたらゲームのネタバレになるかもしれません。なので注意が必要です。歴史的な背景を知りたくない人は読まないほうが良いです。

ゲームの舞台になる9世紀のヴァイキングのイングランド侵攻を歴史的に語るのって、すごく難しいんですよ。

史料があんまりないんです。

特にこの時期のヴァイキングは文字で記録を残す、という習慣がなく、当時の記録は侵略されたイングランドのものがほとんどです。アングロサクソン年代記とかぐらいしか…。

なので考古学的な史料も非常に大きな要素になるのですが、物から歴史を読み解くのは文字から読み解くよりも大変なわけでして。

西ヨーロッパの歴史に関しては、西ローマ帝国滅亡からルネサンス迄はなかなかに難しいところがあります。

ちなみにですが「ヴァイキング」とひとくくりに行ってしまう時、9世紀ぐらいの場合「デンマーク・スウェーデン・ノルウェー」にいた人たちを指します。デーン人・スヴェーア人・ノース人、とか言ったりします。あとはノルマン人、って言ったりもします。

さらにちなみにですが、漫画やアニメで有名なヴィンランド・サガの時代の100~150年ぐらい前の話になります。

さてさて、資料がすくない、とはいえ、このアサシンクリード ヴァルハラの舞台になる9世紀にもなんやかんやあったわけでして、デーン人(とは言ってもデンマークだけでなく、ノルウェー、スウェーデンの人も加わっていたようですが)のイングランド侵攻とデーンロウというのが1つの帰結、と考えて良いと思います。

その中での英雄がウェセックスのアルフレッド大王でして、アサシンクリード ヴァルハラのトレーラーでも出ていたので、即位後が舞台なんかね、というのがなんとなくわかります。在位が871年~899年なので、このぐらいの時代が舞台と考えて良さそうです。

プレイアブルなキャラクターはノルウェーから、とのことなのでノース人と思われます。侵略する側なんですね~。イングランド側からの史観では悪者になるほうがプレイアブルなので、中々に面白いテーマだな~と思います。

中世のイングランドは8世紀末あたりからひたすらヴァイキングに侵略されてまして、まあ至る所略奪されてたわけですね。で、最初は沿岸部を略奪して帰っていくという行動だったのですが、ヴァイキングはだんだん定住していくようになります。で、どんどん支配地域を広げていくようになります。

アサシンクリード ヴァルハラの主人公も、ノルウェーからイングランドに入植してる形ですね。当時のヴァイキングは様々な場所に大移動してまして、いろんな説があるのですが決定的にこれ、といったものはありません。ただ、移動したという事実だけがあります。そういう故郷を捨てて新天地に向かった人が、アサシンクリード ヴァルハラの主人公のモデルというか元ネタになっているわけですね。

この時にヴァイキングに侵略されたイングランドの支配層は基本はアングロ人とサクソン人という人達でした。この人たちは5世紀頃にドイツから来た人達です。もちろん、平和的にではなく、侵略という形です。当時イングランドに住んでいたケルト系とラテン系の混血な人達は、彼らに支配されるか、スコットランドやウェールズなどに追い払われてしまいました。

そしたら、数百年後に今度は自分たちが侵略を受けたわけですね~。

因果応報・諸行無常。

当時のイングランドは「ヘプターキ」と呼ばれる7つの王国に分裂してました。なのですが、アルフレッド王が生まれた頃にはイングランド3分の2ぐらいをヴァイキングに支配されてたんですね。王様がそのままデーン人になってしまった王国があったりしました。正直、アルフレッド大王がいたウェセックス以外はほぼヴァイキングに侵略されてしまってたんですね~。

まあウェセックスも他の国と同様に、内部をヴァイキングに荒らされまくってたんですけど、ある程度なんとかしたのはこのウェセックスだけだったんですよね。

アルフレッド大王は父親(エゼルウルフ王)と協力して871年の戦いでなんとか勝利するのですが、その時の傷が原因でエゼルウルフは死んでしまうので、アルフレッドが王位につきます。

彼はヴァイキングと戦いながら海戦で勝利したり、攻められていったん引いたりしますが、878年のエディントンの戦いで勝利し、ヴァイキングをウェセックスから撤退させることに成功し、デーン人(ヴァイキング)との境界線(デーンロウ)を定めることに成功します。

さらに、アルフレッドは攻勢を強め、海戦で勝利したり、ロンドンを奪還したりします。それ以降も戦いは続きますが、アルフレッドを脅かすまでには至らず、最終的にはアルフレッドの子供の代で、デーンロウの支配権も獲得するという、ヴァイキングの侵略を食い止めてめでたしめでたし…と、この時期までならはそれで終わりになるんですよね。

その後はまた戦いなんですけど。

10世紀の後半にはこのアルフレッドの子孫はだんだんと力を失っていき、再度ヴァイキングの進行に悩まされることになります。この時代が、ヴィンランド・サガの時代につながっていくわけですね~。

と、いうわけで、現状文献でさかのぼれるお話はだいたいこの「イングランド側」の「アルフレッド大王の英雄譚」みたいな感じで知られていることが多いです。

そのため、ヴァイキングは非文化的な略奪者、としてしか描かれないことが多いです。非キリスト教、というのも、キリスト教社会から見た場合にマイナスになった、ということもあるかと思います。

ヴァイキング側からの視点でいうのであれば、彼らはどういう理由かはわかりませんが、8世紀から大規模な移動を開始します。当時としては高かったと推測される海洋技術を駆使して、彼らは海を渡ってヨーロッパ中に広がります。

彼らの目的は様々だったようで、交易や人のいない新たな土地への入植など、単なる略奪者だけではない素顔が垣間見られます。もちろん、恐ろしい略奪者だったのも事実ですが。

とはいっても、何か一つの事だけが目的だったわけではなく、また、各集団によっても様々な目的があり、一概に「ヴァイキングの目的」としてひとくくりにできるようなものではなかったんだろうな~という感じです。

彼らの社会構成などはイマイチわかっておらずでして、文化的な面では北欧神話などのサーガからある程度読み解けるものもあるかもですが、彼らの社会の秩序のあり方とか、各人が有していた権利とか、は自分が持っている資料で言及しているものがないんですよね~。

公式のページでコンテンツアドバイザーさんが女性の権利について言及していますが、その辺りの史料とかって何があるのかな~と、少し興味深いですね。

とりあえず、ゲームのストーリーがどうなるのかはわかりませんが、アサシンクリードのシリーズは歴史にかなり拘って作っていることが多いので興味深いです。

敵役にアルフレッド大王を持ってくる、というのも、斬新な切り口で面白いな~と思います。

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