webで読んだ漫画の感想を備忘録的に書いていく。
変人たちが織り成すギャグマンガの「歯医者さん、あタってます!」。
出版社は集英社、作者は山崎将。無料だとwebではジャンププラス。
絵がきれいなセクシーコマンドー部。いや、絵がきれいなボーボボのほうが近いかも。
極道の跡取りが歯科医に恋をしたら、その歯科医は女装したライバル組の跡取り息子だったという話。一応BLではない。
真面目な話ではなく、次々と変人が現れ意味不明なことをしつつ、すれ違いコントを繰り広げる。
ジャンププラスに載った読み切りの破壊力が尋常でないものだった。その後少し設定を変えて連載になった。
歯医者さん、あタってます!の感想
登場人物がほぼ全員変人の漫画。ギャグの方向性は全く違うが、この辺りは「女子高生の無駄づかい」などとも被る。
「女子高生の無駄づかい」は変人の女子高生が主要キャラだが、「歯医者さん、あタってます!」は変人の憎めない極道たちと、それに絡む人達が主要キャラ。
基本は勘違いしてすれ違い。よくある嚙み合わないコントみたいな作り。
この嚙み合わない感じを楽しみつつ、登場人物の意味不明な動作・言動・行動などでインパクトを与えていく作品。
前半はこの意味不明すぎる内容の破壊力に加えて、非常にきれいな絵柄のギャップも作用し、なんだかよくわからないけど、なんだか滅茶苦茶面白いというギャグマンガだった。この辺りは読んでみてねとしか言いようがない。
ただ、ギャグマンガの常ではあるが、連載が進むにつれて、どうしても変人度合いの勢いが落ちた。
これはきちんと物語を収束に持って行こうとした努力の証で、仕方ない部分もある。
ギャグマンガではこういったことが多く、この作品を完結まで読んでふと思い出したのが、「テルマエ・ロマエ」とか「エンジェル伝説」。
「テルマエ・ロマエ」も前半、特に一巻の破壊力がすさまじかった。一巻とか二巻の最後に、ローマの遺跡を発掘したら、その時代には存在しない日本の遺物が出てきて終わり、みたいな読者を突き放した感じの完結だったら唯一無二の評価になったかもしれない。もちろん今のままでも十分に素晴らしい作品なのだけど。
「エンジェル伝説」も前半の破壊力はすごかったが、やはりそれだけでは長期連載を続けるのは辛かったのか、あの手この手だったイメージ。
商業連載で成功したら、できる限り面白いままでかつ連載を続けたいのは誰もがそうで、それができれば作者も出版社も読者も皆嬉しいわけだけど、それはやっぱりかなりハードで難易度が高い。
特にギャグマンガは最初の勢いを維持するのが非常に難しい。さらに、作中のキャラにある程度「落としどころ」をつけてあげるのもそれはそれで重要。テルマエ・ロマエはそれをきちんと描き切った秀作。なのだが、やっぱりギャグの勢いは最後は落ちたわけで。
「歯医者さん、あタってます」も後半は展開の収束に向けて物語を進めるほうを優先したんだな~と。
「テルマエ・ロマエ」と同様に、「歯医者さん、あタってます」も最後までちゃんと描き切ったギャグ漫画。非常に良い作品だった。