科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌【webで読んだ漫画の感想】

webで読んだ漫画の感想を備忘録的に書いていく。

「科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」。

出版は秋田書店、作者はKAKERU。無料で読むには、webだとマンガクロス。

作者が成人誌も書いていたからか、性描写が少しきつめなので読もうかなという人は注意。性描写以外でもスプラッター的な描写も意外とリアルに描くのでそれも注意。


空想科学読本的にクリーチャーを考察する漫画。

異世界転移した男がクリーチャー娘のハーレムを作ろうと行動するのだが、どちらかというとクリーチャーを空想科学的に考察するのが多分主目的。

現代チート的な知識を駆使しつつ、様々なコミュニティとのつながりを作っていく話。

同作者の「ふかふかダンジョン攻略記」と似たような設定だが、「科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌」のほうがバカっぽさとマイルドさがあるので、本作のほうが比較的読みやすい。

科学的に存在しうるクリーチャー娘の観察日誌の感想

異世界転移物だが、転移した二人の人物が結構特殊な設定なので、その二人の個性に引っ張られる形で物語は進む。

一人はクリーチャー娘でハーレムを作り「クリ娘ハーレム王」に俺はなる!的な人。

生物オタクで、異世界の亜人や各種生き物に異常なまでの興味を示す。基本的にはこのハーレム王を目指す男の物語。

アラクネなどの、ファンタジー漫画でよくある生物に対して、どうしてそういう形なのか、どうしてそういう形に進化したのかなどを、できるだけ論理的にさもありそうな形で設定を作り、それを登場人物に考察させることで物語を進めていく。

ハーレム王は、亜人世界の中に上手く溶け込んで、自身の目的を少しずつ達成していく。また、人間とも関わり、かつ、知識チートを上手くコミュニティに還元しながら、自身の地位を築いていく。

世界設定として、蒸気機関、電力、内燃機関、火薬を作ってしまうとモンスターのスタンピードで街が滅ぼされてしまうという縛りがあり、そこに頭を悩ませながら知識を有効活用していく。ゲームの縛りプレイみたいな感じ。この辺りの設定は「ふかふかダンジョン攻略記」と同じだが、同じ世界なのか違う世界なのか同時代なのかなどは明かされていない。

もう一人の転移者は、能力は非常に高いが、卑屈で自己評価が異様に低く、そのせいで他者からも下に見られるという、ちょっと不遇な人物。

だが、そんな力のある人物が人間社会に愛想をつかし、人間に対して否定的な敵性亜人の世界で生きていくという話。こちらの主人公の話は結構「ふかふかダンジョン攻略記」と被るところがある。

この漫画の注意点は、現代社会の色々な思想に対して、かなり辛辣な「思考実験」をもとに亜人社会の設定を作って、その価値観を登場人物に語らせるところ。

自分の思想しか認められないという考えの人は、この漫画を読むと切れてしまうかもしれないし、多分切れさせることが目的なんだろうなというぐらいに、煽り気味にかなりきついことを登場人物に語らせる。

まあそういう考えもあるよね、ぐらいに割り切れる人にとっては、クリーチャーに対する突き詰めた考察とか、知的生命体が構成する社会構造の思考実験の一部としてとても面白い作品だと思う。

逆に、ハウツー本やビジネス本なとを読んで、すぐに「その通りだ!」と思って影響を受けてしまうような人にも向いてない。

問題提起されている部分や登場人物の行動や煽り気味の語りを見て、いろんな部分を自分の頭で考えられる人にとっては、多分面白い漫画。